ブリッジルーツの
日本・中国・韓国見聞録

上海事務所顧問  古島忠久


【第56回】「中国現地法人の閉鎖は簡単か?」

 日系企業の中国進出企業で中国からの撤退も検討している、との話も偶に聞こえてくるようになりました。中国関連の業務もしている私達としてはあまりよい話ではないのですが、現実としてあり、また私達も中国現地法人の閉鎖業務を行なっております。そこで中国現地法人の閉鎖は簡単にできるのか?について、今回は中国現地法人の閉鎖の流れをお話しします。

 結論から申し上げますと、現地法人の閉鎖は現地法人の設立より労力が掛かります。現地法人の設立は基本的に投資や今後の税金が見込め、歓迎(汚染問題等を発する企業を除き)されるので、資料をキチンと揃えれば大きな問題が発生することは少ないです。しかし現地法人の閉鎖となると、企業の登録場所の地元政府からすれば歓迎できる話ではありません。特に納税額が多く、また従業員の多い企業は尚更です。そのような事情からか、閉鎖で一番の難関は登録地の税務局での閉鎖作業です。

 話を戻しますが、先ずは設立時に最初に設立申請した登録地の商務委員会に今度は閉鎖申請を行ない、許可(ここは申請を出せば比較的簡単に下りる)を貰い、登録地の工商行政管理局に閉鎖申請。その後、本格的に各役所(工商行政管理局、税務局、外貨管理局、社会保障局等)での閉鎖作業を行うのですが、先に述べました税務局を閉めないとできない作業も多いので、普通は税務局から行います。税務局への閉鎖申請をすると、過去(設立時まで)に遡って調査(3カ月~6カ月以上)されます。当然、設立期間が長い、或いは過去の納税方法に疑問がある場合は調査期間が長くなることがあり、勿論疑問がある場合は税務局から当時の資料や追加の資料提出を求められ、手間が掛かります。余談ですが、ここでその当時をキチンと説明できる資料や担当者がいないと、追加で納税を求められる場合もあります。私達の経験上、ここで何かしらの問題が発覚することが考えられます。無事税務局から閉鎖資料を貰えると、各役所の閉鎖作業に進むのですが、他は税務局ほど難関ではありませんので、大きな問題がなければそれなりにスムーズに進みます。そして最後に工商行政管理局からの閉鎖通知書を貰えば完了です。

 また余談になりますが、閉鎖作業に関連して銀行口座の閉鎖を行なうのですが、普通は登録基本口座を最後に閉めます。理由は追加納税や何か突発的な支払いが発生した時の為、現地法人で残高が不足する場合、日本本社から送金して貰う為です。只、他の一般口座(利便性の為、銀行口座を登録基本口座以外にも開設している企業もある)は先に閉めても良いので、銀行へ閉鎖手続きに行きますと、その口座は外貨口座で直近1年以上、使用していなかったので、以前に外貨管理局で使用閉鎖の手続きをしたようです。銀行では外貨管理局の使用閉鎖に関する資料がないと閉められない、と言って来ました。そのことを閉鎖企業の担当者に聞きますと、その資料は有ったかもしれないが、今は何処にあるか分からない、との返事でした。そのことを銀行へ伝えますと、銀行はそれでは改めて外貨管理局に外貨口座の使用に関する申請し、そして使用閉鎖の手続きをして、その資料を貰ってくるようにとのことでした。非常に無駄な作業だと感じたのですが、そのことをやらないと先に進まないので、言われた通り手続きをやりました。

 このようなことが起こることも頭にいれて、閉鎖業務は半年から1年位は掛かると考え、またスケジュール通りにはなかなかいかない、とのことを最初から理解していた方が途中でイライラしなくて良いでしょう。

 以上

 


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